適度な運動は健康に有効ですが、激しいスポーツは大きな負担を引き起こすこともあります。アマチュア選手や学生の部活動、また、趣味で行っている社会人のサークル活動においても、スポーツによって体に障害をきたすことがあります。野球、サッカーなどの特定部位の損傷や関節の痛みはもちろんのこと、ウインタースポーツによる骨折や、テニスによる関節の痛み、ゴルフのフォーム矯正に伴う腰痛など、年齢、性別に関係なく、過度な運動による障害は整形外科の治療分野です。これらは非常に単純に見えて実はドクターの技量に左右される難しい治療になることが多く、治療に当たっては、個々のスポーツの動きと、人体のメカニズムを熟知している必要があります。
●症状
関節周りの組織の損傷で引き起こされるケースがほとんどで、軽度のものから、断裂や骨折に至るものまで様々です。学生の部活中に起こることが多く、身体の成長に影響を与えないよう早期に治療することが必要です。
筋肉の線維部分が断裂を起こした症状を指します。重度のものになると、筋内の血管が損傷を起こし内出血することもありますので、注意深い治療が必要です。外見からの判断がなかなか難しいため、治療が遅れると長期にわたって影響を及ぼすことがあります。
関節から、骨の固定されている箇所が一時的にはずれてしまう症状を指します。この時、激しい痛みと共に本来の関節の動きが不可能となり、思うように四肢を動かすことが出来ません。もっとも気をつけなければならないことは、いわゆる「くせになる」という習慣性を伴うことで、当院では特に治療後のことまでケアを行うことによって、出来る限り再発を防ぎます。
一口に骨が折れると言っても、引き起こされる症状は様々です。腫れや疼痛はもちろん、発熱、変形などを併発することもあります。また、高年齢の方はほんのちょっとした日常的な動作によって、成長期の10~15歳頃には瞬発的な運動によっても剥離骨折を起こすことがあります。
- レントゲンの最新デジタル画像によって、小さな骨折や微妙な圧迫骨折も逃さなく診断できます。
- コルセット、装具、テーピング、PTやセラピストによる運動器のリハビリによって対処します。
●スポーツ障害、ケガでよくみられる疾患
- 頸椎椎間板ヘルニア、頸椎椎間板障害、筋膜性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、疲労骨折
- 腱板損傷・断裂、肩関節脱臼、投球障害肩、肩甲上神経麻痺、肩峰下インピンジメント症候群、
肩関節多方向不安定症、肩鎖関節脱臼、上腕二頭筋長頭腱炎
- 前十字靭帯損傷、後十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、外側側副靭帯損傷、離断性骨軟骨炎、半月板損傷、
オスグッド病、ジャンパー膝、ランナー膝、滑膜ひだ障害、疲労骨折(脛骨・腓骨)シンスプリント、
膝蓋骨亜脱臼(内側膝蓋支帯損傷)、大腿、下腿肉離れ
- 突き指、手指剥離骨折、三角繊維軟骨複合体損傷、手根骨疲労骨折、手根管症候群、
野球肘障害(内側上顆骨軟骨症、離断性骨軟骨症)、内側側副靭帯損傷、外側側副靭帯損傷、
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、ゴルフ肘、肘部管症候群、肘関節脱臼、上腕二頭筋腱断裂
- 扁平足(アーチ障害)、足関節捻挫、足関節不安定症、リスフラン靭帯損傷、離断性骨軟骨症、フットボーラーズアンクル、
三角骨障害、アキレス腱断裂、アキレス腱付着部炎、セーバー病、外脛骨障害、足部及び足関節疲労骨折、足根洞症候群、
腓骨筋腱脱臼、踵骨後滑液包炎、足底腱膜炎、種子骨障害、疲労骨折
- 股関節離断性骨軟骨炎、関節唇損傷、鼠径部痛(グロインペイン)症候群、弾発股、股関節関節内遊離体、
骨盤疲労骨折、内転筋損傷
運動による障害、スポーツによる障害は症状によって治療方法はさまざまです。ギプスによる固定、アイシング、ストレッチやリハビリテーションなど、内臓の病気と異なり、医師が自身の経験を元に複合的に処置を行わなければいけません。また、こういった症状の場合、整形外科では応急処置の基本として「RICE処置」と呼ばれる方法があります。
●Rest(安静にする)
副子やテーピングにて固定を行います。追加の損傷を防ぐためです。
●Ice(冷却する)
低酸素になることに伴う細胞の壊死を抑えるために行います。患部を冷却することによって、損傷部位の周辺に被害が広がらないようにする処置です。
●Compression(圧迫する)
スポンジやテーピングによって、固定、圧迫を行います。内出血や腫脹を防ぎ、あるべき適切な「形状」にとどめること、固定すること、が目的です。
●Elevation(挙上する)
損傷した部位に余計な血流が流れることを防ぎ、
さらなる事態の悪化を防ぎます。