ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)は、年齢を重ねるにつれて気をつけたい、身体の動きに関わる状態のひとつです。
歩く、立ち上がる、階段を上るといった動作は、普段あまり意識せずに行っているものです。しかし、筋力や関節の機能が低下すると、これまで当たり前にできていた動作が少しずつ難しくなることがあります。
今回は、ロコモの意味や原因、日常生活でできる予防のポイントについて解説します。
ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは?
運動器は、ひとつの組織だけで働いているわけではありません。骨や関節が身体を支え、筋肉が力を発揮し、神経が身体の動きを調整することで、私たちはスムーズに動くことができます。
そのため、筋力の低下だけでなく、関節の病気や痛み、バランス能力の低下なども、移動機能に影響する要因となります。
ロコモが進行すると、外出や買い物などの日常生活に支障が生じ、将来的に介護が必要となるリスクも高まります。
ロコモの原因には何がある?
筋力の低下
加齢や運動不足などによって筋力が低下すると、椅子から立ち上がる、階段を上る、長い距離を歩くといった動作が難しくなることがあります。
特に、太ももやお尻などの筋肉は、立ち上がりや歩行を支えるうえで重要な役割を担っています。骨や関節の病気
骨粗鬆症、変形性膝関節症、変形性脊椎症などの運動器の病気も、ロコモに関係します。
例えば、膝の痛みがあると歩くことを控えがちになり、活動量が減ることで筋力が低下することがあります。
このように、関節の痛みと筋力の低下が互いに影響し合う場合もあります。運動不足や活動量の減少
日常的に身体を動かす機会が少なくなると、筋力やバランス能力などが低下しやすくなります。
痛みや疲れをきっかけに外出を控えるようになった場合も、活動量の減少につながることがあります。
ただし、痛みがあるときに無理をして運動するのは適切ではありません。症状に応じた対応が必要です。
自分の身体をチェックしてみましょう
まずは、日常生活で次のような変化がないか振り返ってみましょう。
- 片脚立ちで靴下を履くことが難しくなった
- 家の中でつまずいたり、滑ったりすることが増えた
- 階段を上るときに手すりが必要になった
- 掃除機をかけるなど、家の中でやや重い仕事が難しくなった
- 2kg程度の買い物を持ち帰るのが大変になった
- 15分ほど続けて歩くことが難しくなった
- 横断歩道を青信号の間に渡りきることが難しくなった
当てはまる項目があるからといって、必ずロコモであると決まるわけではありません。ただし、以前よりも動作が難しくなったと感じる場合は、身体の機能を見直すきっかけになります。
なお、片脚立ちなどの動作を無理に試すと転倒する危険があります。不安がある場合は、無理に実施せず、安全を確保して確認しましょう。

ロコモを予防するために大切なこと
日常生活の中で身体を動かす
まずは、普段の生活の中で活動量を確保することを意識しましょう。
例えば、体調に合わせて散歩をする、座りっぱなしの時間を減らす、無理のない範囲で家事を行うなど、日常生活の中にも身体を動かす機会はあります。筋力やバランス能力を維持する
ロコモの予防では、筋力だけでなく、バランス能力や柔軟性なども重要です。
日本整形外科学会が紹介するロコモーショントレーニングには、片脚立ちやスクワットなどがあります。ただし、膝や腰に痛みがある方、転倒に不安がある方は、運動の種類や方法に注意が必要です。
無理に回数を増やすのではなく、自分の身体の状態に合わせて取り組みましょう。栄養バランスにも気を配る
身体を動かすためには、運動だけでなく、食事から必要な栄養を摂ることも大切です。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を基本に、筋肉や骨の健康に関わるたんぱく質、カルシウム、ビタミンDなども意識しましょう。
食事の内容や必要量は年齢や健康状態によって異なるため、持病などがある方は医師や管理栄養士に相談すると安心です。

まとめ:日々の小さな変化を見逃さないために
歩く、立ち上がる、階段を上るといった日常の動作に変化を感じたら、年齢のせいと決めつけず、身体の状態を振り返ってみましょう。
日頃から身体を動かす習慣やバランスのよい食事を心がけることが、運動器の健康を維持するうえで大切です。
膝や腰の痛み、歩きにくさなどが続く場合は、無理に運動を続けず、整形外科で相談することも選択肢のひとつです。
いつまでも自分らしい生活を続けるために、今の身体の状態に目を向けてみませんか?







